考える技術 大前 研一 (著)

「朝10時に漫画喫茶に行くと営業マンらしきスーツの男達で満席になっている。こういう連中が顧客レポートを書いているのだから、現場から上がってくる紙を見て判断するのはナンセンスなのだ」

 この本で同氏が一貫して主張しているのは、フィールドワーク(現場主義)に他ならない。与えられたフレームを信じることなく、自らファクトとロジックを使い、自分自身のフレームを作る。これが、彼の言う洞察力なのだろう。

 この本は目次を読めば、同氏の名著「企業参謀」の復刻版かと思わせる構成だが、「企業参謀」以上に実践的であり、思考プロセスの解説が帰納的(実際のケースを想定して読者に理解させる)で読みやすい。「企業参謀」は、コンサルティング会社に入って初年度に書かれた本だから、とてもソリッドで、(本人の意思とは裏腹に)ツールにコントラストがあたってしまった形になっているが、この本は違う。内容が、やや同業者(コンサルタント)向けと思われる節もあるが、考える上で大事なこと、洞察力の磨き方などから、実際のコンサルテーション(問題解決)を行っていく上でのポイントを非常に平易に書いている。さらに、同氏の持論である地域国家論や政治・経済の問題にまで解決手法〜〜をつかった解説を試みており、全体の内容はすばらしいの一言だ。

 部分的に過去の文章の抜粋や、同氏が発信している通信誌などからの抜粋などがつぎはぎされているのも「アウトソース」と「モジュール化」を推進している同氏の主張を考えれば「ご愛敬」と言うものだ。とにかく、日本のサラリーマンの多くに読んでもらいたい。早速、会社で宣伝している。
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# by fri2005 | 2004-12-19 23:02 | Books

V字回復の経営

Turnaround Specialist 三枝匡さんの渾身の力作。三枝三部作(戦略プロフェッショナル、経営パワーの危機)の中でも最も人間くさい描写にまみれたドラマである。この本を読めば、三枝さんが本物の再生請負人であるということがよく分かる。三枝さんのすばらしいところは、ヒューマンドラマを生々しく演出しながらも、一般に言うところの「経営戦略理論」を「机上の空論」であると批判せず、むしろ積極的にその価値を認めているところだ。この手の生々しい物語の多くは現場主義を標榜しながらも「戦略は絵に描いた餅だ」とうそぶいた触れこみで読者層を集めているものが多いが、この本はそれらとは違い、格調の高ささえ感じてしまう。
 4ヶ月かけて作り上げた再生プランの現場プレゼンテーションで、横柄な態度をとった管理職に主人公の黒岩が怒鳴りつける場面では体が震えてしまった。これだけの熱意とパワーを常に持っていられるかどうか、今後も私自身自問自答していきたい。すべてのサラリーマンにお勧めである
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# by fri2005 | 2004-12-19 22:55 | Books

戦略シナリオ 思考と技術    Best solution

仕事の関係で、自分の考えをまとめようと「シナリオプランニング」ものを探し、同書を手にした。最初に読んだとき、howものを探していたため、「あれ?なにか違うかな..」と思いながら読み進めていると、グングン本の中に入り込んでしまい、終わったときには感激すら感じてしまった。これほど実際のプロジェクトの「つぼ」を押さえている本を見たことがなかった。
 同書では、戦略は星の数ほどあり、それらを体系化するとこの分量では収まらないので、シナリオを作り出す最も大事な部分「戦略エンジン」にフォーカスして執筆したと書いている。実は、私は悩みを持っており、上司から、自分がやってきた仕事の進め方、考え方を体系化して欲しいと言われ、当惑していた時だった。問題解決の手法など個社ごとに違うし、一般化することなんてできないよ、と高をくくっていたので、同書を読んだ後に、見事にそこに体系化されているのを見て、感激してしまったのである。内容は極めて平易で分かりやすく、とにかく実際のプロジェクトのイメージがすばらしくビジュアルに浮かび上がる頼もしい本
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# by fri2005 | 2004-12-19 22:52 | Books